「税務調査」は、治療院経営者にとっては避けて通れるものではありません。
税務調査を「事業」の一つと考えれば気が楽です。
その一番の対策が、証拠に基づく帳簿作成と税務調査の正しい知識に他なりません。
もう一つのポイントは、必ず顧問税理士に税務調査の立ち会いをさせることです。
プロの調査官に素人の院長が一人で対応するのは非常に厳しいです。
税理士がいれば、院長は全ての場面に立ち会う必要はありません。
施術が休みのときだけで十分なのです。
税理士のみが税務調査に立ち会える権利を持っているスペシャリストだからです。
事業者(個人・法人)は、商売をすると、その結果を税務署に報告(申告)し税金を納付する事が法律で決められています。
税務署は、まずその申告書の内容が正しいかを検証します。
もし、その報告内容に疑いがある場合には、調査の開始となります。
日本国民は、憲法30条の「納税の義務」があります。
税務署の税務調査官は、この憲法の規定に基づいた適正公平な課税を実現するために「質問検査権」を行使するのです。
これを一般に「税務調査」といいます。
税務調査は、国税局の査察部(マルサ)が裁判所の許可を受けて行う強制調査以外は、原則として任意の調査です。
任意とは、相手(事業者)の許諾を得て行うことをいいます。
ただ、任意だからといって頑固に調査を拒否すると、税務署から更なる疑いをもたれる場合があります。
税務調査といわれるものにも様々な調査があります。
実際の現地で調査する前にその準備をします。
それは、あらかじめ税務署が取得している
①利子・配当・給料・家賃などの支払者からの「法定資料」
②各企業の協力により集めた商取引の「一般収集資料」
③現地調査で集めた「実地資料調査」
④その他で集めた情報
と、事業者から報告された申告書を照合する調査です。
申告書の内容に不審な点があっても、実地の調査までは必要としない場合の「お尋ね」という書面による調査です。
申告内容の不審な点の解明や経営の実態把握、有効な資料の収集に重点をおいた実地調査です。
通常は4~5年に一度の頻度で行われますが、過去不正が見込まれる「継続管理法人」は3年に一度の実地調査があります。
準備調査等の結果、
① 多額の不正所得が見込まれる場合
② 事業規模が大きく実態把握が必要な場合
③ 他の税務署と連携を必要とする場合
④ 取引先の不正に加担している場合
には、長期間実地調査が行われる場合がある。これを特別調査といいます。
反面調査は、調査対象会社への調査だけでは実態がつかめない場合に、取引先に対し実施する調査です。
調査対象会社の「仕入高」は、取引先にとっては「売上高」。
利益を少なくするために「仕入高」を実際多く計上しても、取引先は「売上高」を同じように多く計上するケースが少ないからです。
取引のある金融機関だけでなく、隠し口座が想定される銀行への調査を行います。
主に、会社の売上を個人口座や架空口座に入金していないか等の確認をします。
通常、開業してから5年以内には、一般の実地調査があります。
しかし、赤字が続いている会社の場合には、10年近く来ていないケースもあります。
1回きて、何も問題が無かった、又はあっても軽微な漏れ等で終わった場合には、その後は、5~6年後に確認の調査があります。
しかし、恣意的に漏らしたケース等のときには、「継続管理法人」として、3~4年に一度の調査が行われるようになります。
調査がある時には通常は、顧問税理士か、会社に事前連絡があります。
しかし、現金取引をしている治療院等や証拠隠滅が予想されるケースでは、事前連絡なしに突然、事務所や院長の自宅に来る場合があります。
税務署は、様々なデータを保存しています。
例えば、前期に比べて当期の売上が急激に上がった場合。
逆に、これまで業績が良かったのに当期に多額の損失が出た場合。
また、他の同業者に比べ、交際費や寄付金等の経費が多く計上されている場合。
など、税務署の持っているデータを比較検討し、異常がありそうな調査対象会社を選定しています。
税務署が来ると、必ず「お土産」を持たせなければいけない、と思っている経営者がいます。
そんな必要は全くありません。
毅然とした対応をしましょう。
顧問税理士に連絡し、日時と対応の打ち合わせをします。
日時と対応を税理士に相談をします。
頑固に調査を拒否する必要はないが、毅然とした態度で応じましょう。
マルサでない限り、納税者の許可なく調査はできません。
そこで「税理士が来るまで待ってください」と言って顧問税理士に連絡します。
調査は、主に申告した内容が適正化どうかを確認します。
具体的には、帳簿(例えば総勘定元帳)と領収書等の証拠書類をつき合わせて、正しいかの確認をします。
また、その支出した内容が業務上のものか、私用で支払ったかの確認がされます。
すべては、証拠、証明。領収書がなくても、何かにメモしておきましょう。
調査の結果、何も指摘事項や修正事項が無い状況を申告是認といいます。
この場合、調査官に対し「申告是認通知」の交付を要求しておくと良いです。
調査の結果、申告漏れがあり、納税者が、自ら責任を持って申告・納税義務を履行するのが「修正申告」です。
調査官が指摘された申告漏れを、納税者自らも認めるものです。
その後は、その指摘事項について「不服申立て」や「裁判」行うことができないことを意味します。
調査の結果、申告漏れがあり、納税者が、調査官の要請に応じず、課税当局が職権で課税処分することを「更正」といいます。
この場合には、課税当局がした「更正」に対して、納税者は「不服申立て」や「裁判」行うことができます。
